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命の存在を描く旅する画家 

私はわかりやすく言うとヴィーガンだ。
わかりやすさは暴力にもなり得ると考えているためわかりやすく言いたくないが。
この一文に私のひねくれ加減がよく表れていると自分でも思う。

私は少しでも命の犠牲、搾取を減らす選択肢を選んで、考え、行動し、生きている。
一例を挙げると、動物性のものを扱った食品や商品、動物の犠牲の上になりたつ商品などは食べたり使ったりしないようにしている。
そのため筆は一切使わないで描いている。
手や腕、布や察筆、竹串、ペインティングナイフで描く。
膠やカーマイン、アイボリーブラックなども使わない。 

私は命を意識することを主題に命の存在、命と命を繋ぐ存在を描いている。
実際に旅をして、自分の目で見て、心で感じた事を基にたくさんの風景、人、生命の存在を描いている。
自然を紙やキャンバス、建築端材(板)といった人工物に絵の具という人工物で描くことで、人も自然の一部であり、自然も人の一部であることを表す。

何故、絵を描くのか。
今、目の前に在る風景は今までそこで生きていき、死んでいった命の積み重ねである。
人や生命もまた、今まで食べてきた命、着てきた命、住んできた命、生活の中で犠牲にしてきた命、数え切れない命の積み重ねで出来ている。
それらをたくさんの絵の具の色、かたち、表情で描くことで、たくさんの命の存在、世界、違い、大切を表す。
命に意識を。世界に愛を。違いに祝福を。大切を大切に。
そう考えるきっかけになればと考えている。
支持体の上で絵の具がまざり合い、ぶつかり合い、様々な表情を見せる。
それは世界における命のやり取りに似ている。命の連鎖、循環に似ている。
様々な絵の具がまざり合い何色とも言えない色となる、そこに境界はない。いらないのだ。

旅はたくさんの出会い、たくさんの感情、たくさんの違いをくれる。
すべて一期一会であり、その時その瞬間だけのものである。
私はその尊さ、風景や人、生命が今、目の前に在るかけがえのなさを描いている。

日々の中でも、出会う風景、人々、生命とは二度と同じものに出会えない。
今そこに存在するかけがえのなさ。
その瞬間、その場所、そこに生き、死んでいく命の存在。

殊更、旅で出会う風景、人々、生命というものはそのかけがえのなさが強まると感じている。
だから私は旅をする。
それらを描くことで、命の存在のかけがえのなさを表現する。
私にとっては実在するものを描くことに意味が在るのだ。
旅をして、実際に目にした風景、出会った人々、触れ合った生命を描くことで、
今、目の前に存在する命がどれだけかけがえがなく、どれだけ尊く美しいものなのかをより強く表現できる。
だから、私は旅をして、絵を描く。
私たちは皆、奇跡でできている。
地面の石も太陽も、海の波や暗い夜も、ゴキブリも人も、なにもかも。
そこに差はない、違うだけだ。
その差をなくすには、違うことを意識することが大切である。
同じだけれど、違うことを。
違うからこそ尊いのだと。一人一人一つ一つ違う。一人の中にもたくさんの自分がいる。
この世界はたくさんの矛盾でできていて、その矛盾を肯定したい。
そこに境界はなく、差はない。曖昧にまざり合う世界こそ美しいのだ。
旅をして、たくさんの違い、尊さを知ることで、曖昧さを祝える。
生も死も綺麗も汚いも美しい。
美しき曖昧の中で、確かに生きる命の存在を描く。

また、絵を描くことで、自分の見た景色や聞いた音、触れ合った命、匂いや肌で感じた風、空気、すべてが自分の中に入ってくる。
一体となっていく。
自分の体と心の中に刻み込まれていく。
私は自然の一部で、自然は私の一部であると再認識できる。
自らの外に命の存在を描くことで、自らの内にも命の存在が描かれるのだ。


少しでも
食べ残しがない
害虫駆除がない
害獣駆除がない
害鳥駆除がない
動物実験がない
外来種駆除がない
ペットショップがない
ブリーダーがいない
毛皮がない
殺処分がない
劣悪な環境に引き取る保護団体がない
二次レスキューがない
動物園がない
水族館がない
動物利用をするサーカスがない
競馬がない
闘牛がない
闘犬がない
闘鶏がない
過剰な森林伐採がない
放置された人工林がない
無計画な焼畑がない
標本がない
昆虫採集がない
剥製がない
雑草除去がない
ダウンがない
密漁がない
密猟がない
革がない
ポイ捨てがない
農薬がない
畜産がない
漁業がない
品評会がない
プランテーションがない
持続可能ではないパーム油がない
動物カフェがない
生活排水による汚染がない
海洋プラスチックがない
白砂糖がない
養殖がない
遺伝子組み換えがない
添加物がない
ゼラチンがない
養蜂家がいない
花屋がない
性搾取がない
破壊や保護、差別や理解、管理や制御のない

世界を目指して
考え続け、行動し続ける。
愛と祝福を心に、疑問と怒りと痛みを原動力に。